Hasta La Vista | 実セ
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実セ

863 words(4min read)

※ふたりが交互に喋っている会話文 ※エピソード集『かい』の内容を踏まえています

2020/7/10 20:40

「……という夢を、見たんだよ」

「……」

「……」

「え~…………と。日本で麗慈が死んで、そのせいで俺が春樹に詰られて、いろいろあった末にお前を刺し殺す、夢?」

「うん」

「……」

「……」

「…………よかったな、夢で」

「俺もそう思う〜」

「なんというか、反応に困るんだけど…」

「いいよ別に。聞いてくれただけでも十分感謝してます」

「そ、うか」

「うん」

「……」

「……」

「うわ〜俺そういうことやりそう! って言えばいいかと思ったけど、俺お前殺してるし」

「もぅ。別にいいって言ったのに」

「知ってるかもしれないけど、俺は自分の発言とか後で思い出して落ち込むタイプだからね」

「存じ上げてますー。あと俺は自分が殺されるのは嬉しいタイプですー」

「だから余計に悩むんだっての」

「あ、ねえ、後ろから料理来てるね」

「あー」

「お肉料理かお魚料理だっけ」

「うん」

「俺はどっちが食べたいでしょうか?」

「はあ?」

「ど〜っちだ?」

「…じゃあ、肉」

「よし。お姉さん、お肉でお願いします!」

「ああ、じゃあ俺は魚で……。え? 俺これ当たったってこと?」

「うん。実光が選んだやつにしようって思ってたから」

「なんだよそれ」

「だから実光は当たり」

「おっさん同士で、なんだかなあ…」

「失敬な。俺は25歳です」

「あぁ、そうな。うん、そうだったわ…」

「ごめんって実光。元気出して〜」

「なんかもう、逆に負けたような気分になってきた」

「そうお?」

「何が正解かわからなかったから……いや、違うな」

「……」

「何が正解か以前に、その選択肢の持つ意味がわからないのに選ばされるのって、釈然としないんだなーって」

「ははっ、けどそれって人生みたいだよね」

「だよなあ…」

「……」

「……」

「俺むかし飛行機乗ってた時にさ……」

「おいやめろ」

「previously, I had an airplane acc…」

「英語でも駄目に決まってんだろ!」

「はーい」

「アンタいい加減に飛行機乗るたびに鉄板ネタみたいに話し始めるのやめろよ!殺されるぞ!」

「実光に?」

「俺はどうでもいいっての!!」


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